ブログ
Blog
人に説明することは最高の勉強法なのか?科学が裏付ける“教える勉強”の効果
なぜ「教えること」が勉強になるのか?
「誰かに説明できるようになるまで理解する」。この考え方は、教育現場でもよく聞かれます。実は、これは感覚的な話ではなく、科学的な根拠も伴っています。
米国のワシントン大学の研究では、学生を2グループに分けて、一方には「学んだ内容をテストで使う」と伝え、もう一方には「学んだ内容を他人に教える」と伝えたところ、教えるつもりで学んだ学生の方が記憶の定着率が高かったという結果が出ました(Nestojko et al., 2014)。
このように、説明を前提とする学習は、単なる暗記よりも脳に深く定着しやすいのです。
教えるつもりで学ぶとき、脳はどう働くのか
説明するためには、以下の3つの過程が必要です。
- 理解:まずは正確に内容を把握する必要がある。
- 整理:他人に伝わる形に情報を構造化する必要がある。
- 言語化:自分の言葉で説明できるように準備する必要がある。
これらのプロセスは、脳にとって非常に負荷が高く、深い学習につながります。つまり、「教えるつもり」は、自然と質の高い学習を促すのです。
実際にどう活用すればいいのか?
1. ダミーの聞き手を用意する
家族や友達に向かって説明してみましょう。相手がいないときは、ぬいぐるみや鏡に向かってでも構いません。「自分が先生になったつもり」で話すだけでも効果があります。
2. ノートに「説明文」を書く
普通のまとめではなく、「~とは何か?」「なぜそうなるのか?」を意識して文章で書き出すことで、より整理されたアウトプットになります。
3. スマホ録音して自分で聞き直す
自分の説明を録音し、あとで聞き返すと理解の浅い部分に気づきやすくなります。
ティーチング効果の根拠
先述したNestojkoらの研究に加え、「ティーチング効果(Teaching Effect)」と呼ばれる現象も広く知られています。これは「他人に教えることを目的として学習すると、最大で30%以上記憶保持率が向上する」とされるもので、心理学・教育工学の分野でも繰り返し確認されています。
また、認知心理学者バーフィールドらの研究では、「他人に教える」という行為が、意味記憶(理解に基づく記憶)を促進することが明らかになっています。
「説明できる=理解している」ではない?落とし穴に注意
ただし、注意点もあります。言葉だけでそれっぽく説明できても、誤解を含んだまま話している場合があります。そうならないためにも、**説明のあとに必ず「自分で問題を解いてみる」**というプロセスを取り入れましょう。
まとめ:説明することは最強の学習法のひとつ
人に説明することは、「思考の整理」「理解の深化」「記憶の定着」において非常に有効な学習法です。ただの暗記に頼るのではなく、説明を前提とした学習スタイルを取り入れることで、勉強効率は劇的に変わります。
特に中学生・高校生にとっては、試験対策だけでなく、受験本番でも「わかっているつもり」を防ぐ手段として大きな武器になるでしょう。
スタディブレインでは、このティーチング効果を授業に取り入れています。教えてもらうだけでは自分の頭をあまり使わないので、適切に脳に負荷をかける方法を実践しています。
関連記事はこちらです:
プロフィール:
和田晶平 スタディブレイン和歌山駅東口教室勉強コーチ
哲学と歴史が大好き 最近は中国古典にハマっている
スタディブレイン和歌山駅東口教室