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解説動画を“流すだけ”は時間のムダ?科学が示す「正しい動画の見方」
YouTubeや学習アプリ、塾のオンデマンド授業など――
今や勉強に動画を使うのは当たり前の時代です。
しかし、「とりあえず見てるけど、成績が上がらない」
そんな声も少なくありません。
実は、解説動画をただ“流し見”するだけでは学習効果は非常に低いことが、科学的にわかっています。
この記事では、**脳科学と教育心理学に基づいた“本当に効果的な解説動画の見方”**を紹介します。
なぜ「動画を見ているのに覚えられない」のか?
解説動画には、以下のような落とし穴があります。
- 受け身で見ると脳があまり働かない
- 「わかった気」になって実は理解していない
- 早送り・倍速視聴で情報が流れてしまう
特に、「ただ聞いているだけ」の勉強は、受動的学習と呼ばれ、記憶の定着が非常に悪いとされています(Mayer, 2005)。
科学が証明した「動画視聴のコツ」5選
以下は、学習効果を最大化するために有効なテクニックです。
✅ 1. 見る前に「目的」を明確にする
視聴前に「何を学びたいか」を1文で書いておく
例:
- 「因数分解の“公式の意味”を理解する」
- 「なぜXがYになるのか、その理由に注目する」
目的意識を持って視聴するだけで、集中力・記憶力が格段に向上します(Moreno & Mayer, 2007)。
✅ 2. 一時停止&メモを取りながら見る
動画を見ながら手を動かすことは、**能動的な学習(アクティブラーニング)**を促します。
おすすめは:
- キーワードや公式を自分の言葉で書く
- 1トピックごとに停止して「要点」をメモ
- すぐに正解を写すのではなく、自力でまとめる
「書きながら視る」だけで、学習定着率は2倍以上になるという研究もあります。
✅ 3. 視聴スピードは「1.25〜1.5倍」がベスト
早送り再生は集中力を高める効果がありますが、2倍速を超えると理解力が低下する可能性が高いです。
スピード | 学習効果 |
等速(1.0倍) | 普通 |
1.25倍 | 集中力アップ、推奨◎ |
1.5倍 | 効率的、推奨◎ |
2.0倍以上 | 理解力が落ちる✕ |
(参考:Kim et al., 2020)
✅ 4. 見終わったあとに「要約」してみる
動画の記憶は“再生後すぐ”が勝負。
- 白紙に「学んだこと」を3行で書く
- 友達や親に「今日の動画の内容」を説明する
- 何も見ずに自力で再現できるか試す
これは「リトリーバル・プラクティス(想起練習)」と呼ばれ、長期記憶に非常に効果的な方法です。
✅ 5. 同じ動画は“間隔を空けて”見直す
記憶は「一夜漬け」では残りません。
1日後・3日後・1週間後と間隔を空けて見直すことで、内容がしっかり定着します。
これは「間隔反復(Spaced Repetition)」という記憶法則に基づく方法で、動画視聴にも応用できます。
逆に「やってはいけない視聴法」は?
NG習慣 | 理由 |
BGM代わりのながら視聴 | 脳が処理しきれず、記憶に残らない |
倍速で流し見 | 情報量は多いが理解が浅くなる |
メモを取らない | 受動的になり、内容を忘れやすい |
見るだけで満足する | 実践やアウトプットがなければ記憶に残らない |
勉強動画の効果を最大化する「視聴ルーティン」
以下の流れで見ると、理解・記憶ともに飛躍的にアップします:
- 視聴前に「今日のテーマ」を紙に書く
- 1トピックごとに停止&要点をメモ
- 視聴後に白紙に要約する(できれば誰かに話す)
- 翌日と1週間後に復習 or 再視聴
まとめ|動画学習は「使い方次第」で武器にも無駄にもなる
解説動画は便利で強力な学習ツールですが、使い方を間違えると、ただの時間の消費になってしまいます。
大切なのは:
✅ 見る前に目的を決める
✅ メモ&一時停止で能動的に視る
✅ 自分で要約&復習する習慣をつける
「動画を見た=勉強した」ではありません。
「動画から何を得たか」が学習効果を左右します。
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プロフィール:
和田晶平 スタディブレイン和歌山駅東口教室勉強コーチ
哲学と歴史が大好き 最近は中国古典にハマっている
スタディブレイン和歌山駅東口教室