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「理解してから問題を解けばいい」は誤解?正しい学習サイクルを解説

「まず教科書で理解してから問題を解けば大丈夫」――
多くの保護者や生徒が信じるこの常識、実は学習効率の面では最適とは言えません。
科学的研究では、**最初に問題を解くことで理解が深まり、知識が定着する「テスト効果」**が確認されています。
この記事では、なぜ先に問題を解く方が効果的なのか、具体的な家庭学習での実践方法まで詳しく解説します。
1. 「理解してから問題を解く」の落とし穴

多くの生徒は「教科書や参考書を読み、まず理解する」ことに時間をかけがちです。しかし、理解だけに頼る学習には以下のような課題があります。
- 記憶の再現力が弱い
読むだけの受動的学習では、頭に入った情報をテストや応用問題で使う力が弱くなります。 - 弱点の把握ができない
理解だけでは、自分がどこを間違いやすいか、どこが曖昧なのかが分かりません。 - モチベーションが下がる場合もある
問題に触れずに理解だけを積み重ねると、「実際にできる」という手応えが得られず、学習意欲が低下することがあります。
心理学研究によると、問題を解くこと自体が理解を強化するということが分かっています。これを「テスト効果(Test-Enhanced Learning)」と呼びます。Roediger & Butler (2011)の研究では、問題に挑戦したグループは、教科書を読むだけのグループよりも理解度と記憶定着率が高かったと報告されています。
2. テスト効果を最大化する学習サイクル

問題を解くことで学習効果を最大化するには、挑戦→間違い→修正→再挑戦のサイクルが重要です。
- 挑戦
まず、教科書を軽く読むだけにして、実際の問題に取り組む。初めての問題でも構いません。 - 間違いを認識
解けなかった箇所や間違えた部分をチェックし、弱点を把握する。 - 修正学習
教科書や解説で分からなかった箇所を補強する。 - 再挑戦
同じ問題や類題を再度解くことで、知識が長期記憶に定着する。
このサイクルは、脳が「自分の弱点を認識→修正→定着」という順序で情報を整理するため、理解の深まりと記憶定着の両方を同時に実現できます。
3. 家庭学習での具体例

数学
- 応用問題:関数や図形の応用問題を最初に解く
- 間違えた箇所:解説を見て再挑戦
- 基礎問題:最後に基本計算や復習問題をまとめて解く
英語
- 長文読解:文章を読まずに設問から挑戦
- 文法問題:間違えた箇所を文法書や例文で確認
- 単語暗記:後半でまとめてチェック
理科・社会
- 確認問題:教科書を読む前に問題を解く
- 弱点補強:教科書や参考書で理解を補う
- 復習:短時間で複数回に分けて復習
4. 科学的に支持される理由

- エラー学習(Error-Based Learning)
間違えることで脳が「どこを覚えていないか」を認識し、学習内容が定着する。 - アクティブリコール(Active Recall)
思い出す行為自体が記憶を強化するため、問題を解くことは理解を深める最高の手段。 - テスト効果
定期的に問題に挑戦することで、長期記憶への移行が促進される。
5. 保護者ができるサポート

- 問題を解かせる前に長時間の解説は不要
- 間違えた箇所は一緒に確認し、答えを教えるのではなく「どうしたら解けるか」を考えさせる
- 家庭学習の中で、挑戦→修正→再挑戦のサイクルを意識させる
まとめ

- 理解だけに頼る学習は非効率
- 初めに問題に挑戦することで理解と記憶の定着が加速
- 家庭学習では、挑戦→間違い→修正→再挑戦のサイクルを取り入れる
- 短時間で集中して挑戦し、間違えを学びの材料にすることで、効率的に学力を伸ばせる
💡ポイント
- 完璧な理解を待たずに挑戦する
- 間違いを恐れず学習の糧にする
- 再挑戦と復習で知識を定着
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プロフィール:
和田晶平 スタディブレイン和歌山駅東口教室勉強コーチ
哲学と歴史が大好き 最近は中国古典にハマっている
スタディブレイン和歌山駅東口教室