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「勉強しなさい」を卒業! 小学生の自律性を伸ばす「やる気のタネ」の育て方

「早く宿題しなさい!」「ゲームばかりしていないで勉強しなさい!」
小学生の保護者にとって、この「勉強しなさい」という言葉は、つい口から出てしまう「魔法の言葉」かもしれません。しかし、心理学的に見ると、この命令は子どもの自発的な意欲(やる気)を摘み取ってしまう最大の原因です。
子どもが自分で考え、自ら行動できる「自律性」を育むことこそが、小学生の学習習慣の土台となります。
このブログでは、心理学の自己決定理論に基づき、「勉強しなさい」と言わなくても、子どもが自ら進んで学習を始めるようになるための、科学的な関わり方と具体的な**「やる気のタネ」**の育て方を解説します。
1. なぜ「勉強しなさい」は逆効果なのか?

子どもに命令をすると、子どもは**「やらされている」**という感覚(外的コントロール)を感じます。この状態が続くと、勉強が「親に怒られないための義務」になり、本来持つべき「知的好奇心」や「学びの楽しさ」が失われてしまいます。
自律性の尊重が内発的なやる気を育む
心理学の自己決定理論では、人が最も意欲的に、そして持続的に行動するためには、以下の3つの基本的欲求が満たされる必要があるとしています。
- ① 自律性: 自分で決定し、行動をコントロールしたいという欲求。
- ② 有能感: 自分はできる、役に立っていると感じたいという欲求。
- ③ 関係性: 誰かとつながり、安心したいという欲求。
小学生の時期に最も重要になるのが、自律性です。親が**「命令」ではなく「選択肢」を与えることで、この自律性が満たされ、子どもは「自分で決めたからやろう」**という内発的な動機づけを強めます。
2. 自律性を満たす!「自分で選ぶ」という仕組み

いきなり「自分で勉強計画を立てなさい」と言っても無理です。まずは、親が用意した枠組みの中で、子どもに**「自分で選べる」**という小さな体験を積み重ねさせましょう。
小さな選択肢を与える声かけの例
- 時間を選ぶ:
- NG:「今すぐ宿題をやりなさい。」
- OK:「宿題は、おやつを食べる前と食べた後、どちらから始める?」
- 場所を選ぶ:
- NG:「自分の部屋の机でやりなさい。」
- OK:「今日は、リビングのテーブルと自分の机、どこで勉強したい?」
- 科目を選ぶ:
- NG:「算数のドリルをやりなさい。」
- OK:「宿題の中で、一番最初に手をつけたいのは、算数?それとも国語?」
- 順番や方法を選ぶ:
- NG:「ドリルを1ページ目からやりなさい。」
- OK:「ドリルは苦手なところからやる?それとも得意なところから手を付ける?」
ポイント: 親が用意したAとBの選択肢から選ばせることで、「勉強する」という大枠は守りつつ、子どもには**「自分で決めた」**という自立感が残ります。
3. 「やる気のタネ」を植えるスモールステップの習慣化

小学生が集中力を持続させるのは難しいため、一気に大きなタスクを与えるとすぐにやる気を失ってしまいます。行動科学で有効な**スモールステップ(小さな一歩)**の考え方を導入し、「できた!」という達成感を頻繁に味わわせることが重要です。
習慣化のための具体的なアプローチ
- タスクを極限まで小さくする:
- 「宿題を全てやる」ではなく、「漢字ドリルをたった5分だけやる」と、すぐに達成できるレベルまで目標を小さくする。
- 既にある習慣に紐づける(習慣の連鎖):
- 「もし、家に帰ってきて手を洗ったら、すぐに鉛筆を1本、机の上に置く」のように、既存の行動をきっかけ(トリガー)として利用する。
- タイマーで「区切り」を作る:
- 「2時間頑張る」ではなく、「タイマーが鳴るまでの15分間だけ集中する」と決め、区切りを明確にすることで、集中力の持続を助ける。
ポイント: 目標は「完璧にやること」ではなく、「とにかく始めること」に設定します。小さな成功体験(有能感)を積み重ねることで、次の行動への意欲が自然と湧いてきます。
4. まとめ:命令から卒業し、自律性を伸ばす3つのステップ

小学生の学習習慣の土台は、親子の関わり方によって作られます。「勉強しなさい」を卒業し、子どもが自ら伸びる土壌を作りましょう。
- 「命令」ではなく「選択肢」を与える: 勉強の時間や順番など、小さな選択権を子どもに与え、自律性を満たす。
- 「スモールステップ」で成功体験を積む: 目標を極端に小さくし、「できた!」という有能感を頻繁に味わわせる。
- 既存の習慣を「トリガー」にする: 「手を洗ったら宿題を始める」など、行動のきっかけを明確にすることで、習慣化を促す。
これらのステップを意識することで、お子さんは「やらされている」ではなく「自分でやっている」という意識に変わり、学習への意欲が飛躍的に高まるでしょう。
子どもは本来、「成長したい」と思っています。それをうまく言語化できていないだけです。だから、命令や先回りではなく、環境設計や行動デザインにより成長を後押しするのが大人の役割です。
スタディブレインでは、質問や対話を通して自律性を身につけられるような声掛けを日々実施しています。家でも勉強するようになってほしいと悩んでいる方は、ぜひスタディブレインにお越しください。
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プロフィール:
和田晶平 スタディブレイン和歌山駅東口教室勉強コーチ
哲学と歴史が大好き 最近は中国古典にハマっている
スタディブレイン和歌山駅東口教室