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書くのが効果的?声に出すのが良い?記憶定着に最も効果的な学習法とは
はじめに:勉強法の「常識」を疑う時代に
「ノートに書いて覚えるのが一番」「声に出してテストした方が覚える」
勉強方法については様々な意見がありますが、果たしてどちらが本当に効果的なのでしょうか?
近年の教育心理学や認知科学の研究によって、記憶定着に有効な学習法が徐々に明らかになってきています。
この記事では、「ノートに書く」学習と「口頭でテストする」学習を比較し、それぞれの効果と科学的根拠を紹介します。
ノートに書く学習の効果:書くことで理解と記憶が深まる
書くことの認知効果
プリンストン大学とUCLAの共同研究(Mueller & Oppenheimer, 2014)によれば、手書きのノートはタイピングよりも情報の定着に優れていることが示されました。
これは、「書く」という動作が脳にとって情報の処理を深める活動だからです。
- 書くことで要点を自分なりにまとめる
- 書く動作が運動記憶として記憶に残る
- 「視覚+運動」の組み合わせが記憶を強化
中高生の勉強においても、暗記事項をノートに繰り返し書くことは一定の効果を持っています。
口頭でテストする学習の効果:取り出すことで記憶が強くなる
テスト効果(Testing Effect)とは
一方、近年注目されているのが「テスト効果(Testing Effect)」です。
これは、人は覚えたことを思い出そうとすることで、記憶がより強固になるという現象です。
ローディガー教授(Roediger & Karpicke, 2006)の研究では、復習よりもテスト(想起)を行った方が長期的な記憶保持が高いことが示されています。
つまり、
- 書いて覚えるより、クイズ形式で思い出した方が記憶が定着する
- 間違えても、すぐに正答を確認することで記憶が強化される
- 特に「間隔をあけて思い出す(分散学習)」と効果が高い
といった特徴があります。
結論:記憶の定着には「テスト」が最強。ただし「書く」ことも意味がある
どちらがより記憶に残るかというと、科学的には「口頭でテストする(思い出す)」方が優れているとされています。
ただし、「初めての内容を理解したり整理したりする」段階では、ノートに書くことも非常に有効です。
- 【覚える段階】→ ノートにまとめて理解を深める
- 【定着させる段階】→ テスト形式で思い出す
このように、段階ごとに勉強法を使い分けることが最も効果的です。
実践方法:家庭学習で活用するには
以下のように工夫することで、両方のメリットを活かすことができます。
- 暗記ノートを1冊用意し、書いてまとめる
- その内容を、家族や友人に口頭で説明してもらう
- スマホ録音などを使って、自分にクイズを出す
- アプリで「想起練習」する
時間効率も考えると、覚えたい内容を紙にまとめて、口頭で何度も確認するのが最適解と言えるでしょう。
まとめ
- 記憶の定着には「思い出す練習=テスト効果」が最も有効
- ノートに書くことは理解や整理に役立つ
- 理想は「書いて覚える → 口頭でテストして定着させる」
- 手書き+口頭テストの組み合わせが、記憶と効率の両立に効果的
勉強法には「これだけやればいい」という絶対解はありませんが、科学的根拠に基づいた方法を取り入れることで、努力の効率は確実に高まります。
今日から、あなたの勉強スタイルにも「テスト効果」を取り入れてみてください。
スタディブレインの授業では、今回ご紹介した「テスト効果」を導入しています。そのおかげで「覚えたつもり」という状態を見逃さずに、しっかり記憶に定着させることができています。
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プロフィール:
和田晶平 スタディブレイン和歌山駅東口教室勉強コーチ
哲学と歴史が大好き 最近は中国古典にハマっている
スタディブレイン和歌山駅東口教室