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「問題をたくさん解けば実力がつく」は誤り。質より量の罠とは?
「とにかく問題をたくさん解けば実力がつく」と信じて、毎日何ページもの問題集に取り組んでいる生徒は少なくありません。しかし、その努力が思うような成果に結びつかないケースも多々見られます。一体なぜでしょうか?
本記事では、「問題を解く量=実力」ではないという科学的根拠と、実力を高めるために本当に必要な学習の質について解説します。
「量より質」が重要な理由:理解と再現性の欠如
まず明確にしておきたいのは、「問題をたくさん解くこと」自体が悪いわけではないということです。問題は、その“やり方”です。以下のような取り組み方では、実力にはなかなか結びつきません。
- 答えを見ずにひたすら解きまくる
- 間違えた問題の原因分析をしない
- 同じパターンの問題を惰性で解き続ける
これらの共通点は、「なぜその答えになるのか」を深く考えるプロセスが抜け落ちている点にあります。つまり、“解けたかどうか”ではなく、“理解して再現できるか”が学力の本質なのです。
解法を「理解」し「再現」できるかが実力を左右する
「理解したつもり」で終わる学習は、テスト本番で応用が効きません。特に数学や理科などの積み上げ型の教科では、「なぜその式を立てるのか」「どういう原理でその答えになるのか」を説明できるレベルに到達して初めて、本当の理解と言えます。
この「再現性のある理解」を身につけるには、次のようなプロセスが有効です。
- 解いた後に「なぜそうなるのか」を言葉で説明する
- 自力で同じ問題をもう一度解き直す
- 類題に取り組んで応用力をチェックする
単に答えが合っているかどうかを見るのではなく、「自分の頭でそのプロセスを再構築できるか」が鍵になります。
メタ認知が勉強の質を変える
実力を高めるもう一つの重要な要素がメタ認知です。これは「自分の学習状況を客観的に把握する能力」を指します。
メタ認知力が高い生徒は、以下のような行動が取れます。
- 「この問題はなぜ間違えたのか」を分析する
- 「この範囲はまだ理解が浅い」と自覚して復習する
- 「このやり方では効果が薄い」と判断し、学習法を変える
逆に、メタ認知が低いと「できた気になっているけど実はわかっていない」「何度も解いているのに伸びない」といった事態に陥りやすくなります。
「質の高い勉強」とは何か?
勉強の“質”を高めるためには、以下のような要素を意識することが大切です。
- 間違いの原因を深掘りする:ただのケアレスミスか、本質的な理解不足かを見極める
- 説明する学習を取り入れる:人に教えるつもりでノートにまとめたり、自分に語りかける
- 思い出す練習をする:解答を見ずに、頭の中で再構成して解き直すリトリーバル学習
- 分からなかったところを記録する:自分の弱点を「見える化」する
こうしたプロセスを経て、ようやく“身につく学び”となるのです。
量をこなすのは「質」が伴ってから
もちろん、質の高い勉強を一定以上の「量」こなすことで、知識は強固になります。しかし、それは**「質」が先にある**ことが大前提です。理解できていない問題を何十問解いても、学力の土台は築けません。
たとえば以下のような流れが理想的です。
- まずは数問を深く理解する
- 自分の言葉で説明できるようにする
- 応用問題や類題に挑戦して定着を図る
- 弱点が残っている箇所だけを重点的に演習する
このようなアプローチによって、「実力としての理解」が定着していきます。
まとめ:正しく考え、正しく繰り返すことが学力をつくる
問題をたくさん解くことは、「正しく理解し、正しく振り返る」こととセットで初めて効果を発揮します。学習のゴールは、ページ数をこなすことではなく、「わかる」「できる」を積み重ねることです。
量を重ねる前に、「このやり方で本当に力がついているか?」と自分に問いかけてみましょう。その問いが、勉強の質を大きく変えてくれるはずです。
勉強で大事なことは、「再現性」です。テストで似た問題が出たときに解けるのかを意識した勉強を積み重ねていきましょう。
参考:【再現性こそ最強の武器】勉強が苦手でも成績が伸びる生徒の共通点とは | スタディブレイン
プロフィール:
和田晶平 スタディブレイン和歌山駅東口教室勉強コーチ
哲学と歴史が大好き 最近は中国古典にハマっている
スタディブレイン和歌山駅東口教室