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子どものやる気を引き出す目標設定|成果目標と行動目標の違いと使い分け方

テスト前に「次は90点目指そうね」と声をかけても、子どもはなかなか動き出さない…。目標を立てても三日坊主で終わってしまう…。そんなモヤモヤを抱えている保護者の方は少なくありません。実は、「やる気がないから続かない」のではなく、子どもの今の段階に合っていない目標の立て方をしているだけということがよくあります。
この記事では、「成果目標(点数・順位)」と「行動目標(毎日の具体的行動)」という2種類の目標の違いと、子どものタイプ別にどちらを優先すべきかを分かりやすく整理します。さらに、続けやすい目標にするための「SMARTの法則」も紹介しながら、今日から使える声かけや目標の具体例まで解説します。子どものやる気と自信を育てる目標設定のコツを、一緒に確認していきましょう。
子どもに「テストで90点取ろうね」と言っても動かない理由

子どもの勉強について話すとき、
「次のテストで90点を目指そう」
「平均+20点アップをゴールにしよう」
といった「点数ベース」の目標を立てることが多いですよね。
しかし、
- 目標は立てたのに、勉強が続かない
- テスト後に一喜一憂して終わってしまう
- 結局、日々の行動が変わらない
こんな経験をした方も多いはずです。
じつは、目標にはそもそも2種類あり、子どもの状態によって向き・不向きがあることを知っておくと、関わり方がぐっと楽になります。
目標には「成果目標」と「行動目標」の2種類がある

成果目標:テストの点数や順位など「結果」を示す目標
例:
- テストで90点を取る
- 学年順位を10位以内にする
- 内申点○○以上を目指す
【メリット】
- シンプルでわかりやすい
- 達成したときの達成感が大きい
- 競争心が強い子には大きな原動力になる
【デメリット】
- 出題範囲・難易度・体調など、コントロールできない要素に左右される
- 勉強習慣がない子にとっては、「遠すぎるゴール」になって動けなくなる
行動目標:毎日の具体的な勉強内容を示す目標
例:
- 毎日英単語を50個復習する
- 21時〜22時は必ず机に向かう
- ワークを1日1ページずつ進める
【メリット】
- そのまま「今日やること」になるため、行動に落とし込みやすい
- 「今日もできた!」という小さな達成感を積み重ねられ、習慣化につながる
- 子ども自身が成長を実感しやすい
【デメリット】
- 短期的には点数アップとのつながりが見えにくい
- 変化が地味なので、親が成果に気づきにくいこともある
どっちがいい?子どものタイプで変わる「向いている目標」

成果目標が向いているのは、すでに習慣がある子
次のような子には、成果目標が効果的です。
- すでに毎日の勉強習慣がある
- 自分の勉強ペースを把握している
- 目標達成のために「どれくらい頑張ればいいか」の感覚がある
- 競争心やチャレンジ精神が強い
こういった子は、
「テストで90点を取る」「次の模試で偏差値○○以上」などの明確なゴールを設定することで、やる気のギアが一段上がります。
行動目標が向いているのは、まだ習慣づくりの段階の子
一方で、次のような子には、まず行動目標がおすすめです。
- 勉強する日としない日がバラバラ
- 「やらなきゃ」と思っても、なかなか始められない
- 自分のペースが分からず、どれくらいやればいいか見当がつかない
この段階で「テストで90点!」と成果目標だけを掲げても、
- そもそもゴールまでの道がイメージできない
- 大きすぎる目標にプレッシャーだけが増える
という状態になり、逆に手が止まってしまいがちです。
まずは、
「毎日15分だけ机に向かう」
「英単語アプリを1日3回開く」
など、小さな行動を“当たり前”にするところから始めたほうが、結果的に成績につながりやすくなります。
理想は「成果目標 × 行動目標」をうまく組み合わせること

どちらか一方が正解、というわけではありません。おすすめは、次のような組み合わせ方です。
- 成果目標:進む「方向性」を決めるもの
- 行動目標:毎日の「歩幅」を決めるもの
たとえば、
「2学期の期末テストで5教科合計400点」
という成果目標を“北極星”のように掲げつつ、
- 毎日ワーク1ページ
- 間違えた問題をその日のうちに解き直す
- 寝る前に英単語を10個チェック
といった行動目標を「チェックリスト化」してあげるイメージです。
親子で一緒に、
「今日のチェックリスト、ここまでできたね」
と確認できるようにすると、子どもの「自己効力感(自分はやればできるという感覚)」も育ちます。
続けやすい目標にする「SMARTの法則」

目標を立てても続かないときは、目標そのものを見直すサインかもしれません。そこで役立つのが、有名なSMARTの法則です。
- Specific(具体的)
「勉強を頑張る」ではなく、「毎日21:00〜21:30は数学のワークを解く」のように具体的に。 - Measurable(測定可能)
「30分」「1ページ」「10問」など、できたかどうかが数字で分かる形にする。 - Achievable(達成可能)
子どもが「これならいけそう」と感じるレベルまでハードルを下げる。 - Relevant(重要性がある)
子ども自身の目標(志望校・なりたい姿)と関連づけて、「なぜそれをやるのか」が納得できるようにする。 - Time-bound(期限がある)
「今週だけ」「テスト2週間前から」など、いつまで続けるかの期限を決める。
この5つを親子で一緒に確認しながら目標を整えていくと、「立てたけど放置される目標」が減っていきます。
まとめ:目標の種類を変えれば、子どものやる気は変わる

- 目標には「成果目標(点数・順位など)」と「行動目標(毎日の具体的行動)」の2種類がある
- 習慣ができていない子には行動目標、すでに習慣がある子には成果目標が向いている
- 成果目標は進む方向、行動目標は歩幅。両方を組み合わせることで「ゴール」と「頑張り方」が結びつく
- SMARTの法則を使って、具体的で続けやすい目標に整えていくことが大切
「うちの子は目標を立てても続かない」と感じるとき、それは性格の問題ではなく、目標の種類や難易度が今の段階に合っていないだけかもしれません。
成果目標と行動目標をうまく使い分けて、
子どもが「できた!」を積み重ねていける目標設定を、親子で一緒に作っていきましょう。
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プロフィール:
和田晶平 スタディブレイン和歌山駅東口教室勉強コーチ
哲学と歴史が大好き 最近は中国古典にハマっている
スタディブレイン和歌山駅東口教室