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子どもの「続ける力」を育てる自己マネジメント|GRITと興味の見つけ方

「やる気がないわけじゃないのに、どうして続かないんだろう」「少しうまくいかないと、すぐに『無理』『もういい』と言ってしまう」。
勉強や習い事について、こんなもどかしさを感じている保護者の方は多いのではないでしょうか。
じつは、「続ける力」は一部の天才だけが持っている特別な才能ではありません。心理学では、目標に向かって粘り強く取り組む力をGRIT(グリット)=やり抜く力と呼び、その多くが環境づくりや考え方のトレーニングで育てられることが分かってきています。
この記事では、GRITの4つの要素「興味・練習・目的・希望」を軸に、子どもの「続ける力」を育てる自己マネジメントの考え方と、今日から家庭で実践できる具体的な関わり方を紹介します。
「続ける力」は才能ではなく、あとから育つ力

テストの点数や運動能力を見ると、どうしても「才能」に目が向きがちです。
しかし、心理学者アンジェラ・ダックワース氏は、成功を左右するのは生まれつきの才能ではなく、努力を続ける力=GRITだと提唱しています。
- 一度の成功よりも、「コツコツ続けた経験」のほうが将来の成果につながる
- 才能があっても、途中でやめてしまえば成果にはならない
つまり、保護者として大切なのは「うちの子は才能があるかどうか」ではなく、
「続ける経験」をどれだけ積み重ねさせてあげられるかという視点です。
GRITとは?やり抜く力を支える4つの要素

GRITは、後から付けられた頭文字だと言われています。
- G:Guts(度胸・不屈の精神)
- R:Resilience(復元力・しなやかさ)
- I:Initiative(自発性・率先力)
- T:Tenacity(執念・粘り強さ)
これらを現実の行動レベルに落とし込むために、4つの要素として整理すると分かりやすくなります。
① 興味:続けるためのエンジンを見つける
そもそも「まったく興味が持てないこと」を長期間続けるのは、大人でも難しいですよね。
子どものGRITを育てるうえでも、小さくても「おもしろい」「もっと知りたい」という興味の種を見つけることが出発点になります。
② 練習:少しだけ難しいことに挑戦する
ただ同じことを繰り返すだけでは、成長実感が薄れて飽きてしまいます。
「今の自分にはちょっと難しいけれど、頑張れば届きそう」というレベルの練習を続けることで、
- できなかったことができるようになる
- 昨日の自分より今日の自分が少し成長している
という感覚が育ちます。
③ 目的:自分なりの「意味づけ」を見つける
GRITを支える3つ目の要素が「目的」です。
- 「将来こうなりたいから」
- 「家族や友達の役に立ちたいから」
といった、自分なりの意味づけがあると、つらい時期でも踏ん張りやすくなります。
ここで大事なのは、親が押し付けた目的ではなく、子ども自身の言葉で語れる目的を一緒に探していくことです。
④ 希望:失敗から立ち直る「リカバリー力」
最後の要素は「希望」です。
どれだけ頑張っても、失敗やスランプは避けられません。そのときに必要なのが、
- 「今回うまくいかなかったのは、ここを工夫できていなかったからだ」
- 「やり方を変えれば、次はもっとよくなるかもしれない」
と捉え、失敗を次へのヒントに変える力です。
子どもの興味を育てる「行動リスト」

興味は、待っていれば自然に降ってくるものではありません。
興味を広げるための具体的な行動例をいくつか紹介します。
- 普段見ないジャンルのYouTube動画を見てみる
- いつもは手に取らない分野の本を読んでみる
- 周囲の大人の趣味や仕事の話を聞いてみる
- 無料のアプリやオンライン講座の「第1章だけ」試してみる
ポイントは、「とりあえず1回だけやってみる」ハードルの低さです。
保護者としては、
- 「一緒にこの動画見てみない?」
- 「この本、ちょっとおもしろそうじゃない?」
と、軽い誘いかけを増やしていくことで、子どもの興味の種を一緒に探していけます。
興味を言語化する「質問リスト」で自己理解を深める

やってみたあとに大事なのが、「どう感じたか」を言葉にすることです。
興味を掘り下げる質問の例として、次のようなものが挙げられます。
- 時間を忘れて夢中になった活動は何ですか?
- 誰にも頼まれていないのに、つい調べてしまう・考えてしまうテーマは何ですか?
- お金や評価がもらえなくても、毎日続けたいことは何ですか?
- 周りの人から「これ詳しいよね」「これ手伝って」とよく頼まれることは何ですか?
こうした質問を、親子の会話の中に少しずつ取り入れてみてください。
「そんなにないよ」と最初は言うかもしれませんが、
一緒に思い出しながら話しているうちに、
- 「そういえば、小さい頃からずっとやってるな」
- 「言われてみれば、これ考えてる時間がいちばん長いかも」
と、自分の興味の傾向に気づけることがあります。
失敗を「良いデータ」として扱う自己マネジメント

続ける力を育てるうえで、失敗との付き合い方はとても重要です。
- 「また失敗した…自分はダメだ」
ではなく、 - 「今回はこういうやり方をしたから、この結果になった」
- 「じゃあ次は、ここを変して試してみよう」
と、実験とデータのように捉え直すクセをつけていくことが、GRITの土台になります。
保護者の役割は、
- 失敗そのものを責めるのではなく、「チャレンジしたこと」「振り返ったこと」を認める
- 「じゃあ、次はどうしてみる?」と、一緒に次の一手を考える
というスタンスで、子どもの自己マネジメントをサポートすることです。
まとめ:人生を「実験」として楽しめる子に

子どもの「続ける力」を育てるポイントを改めて整理すると、次の通りです。
- 成果は才能ではなく「努力を続ける力(GRIT)」によって大きく変わる
- GRITは「興味・練習・目的・希望」の4つの要素から育てられる
- 興味の種は、「1回だけ試す」行動を増やすことで見つかる
- 質問リストを使って、興味や得意を言葉にしていくことが自己理解につながる
- 失敗は「良いデータ」と捉え直し、次の一歩を一緒に考える
人生は一度きりですが、その中身は何度でも「実験」し直せます。
親が完璧なルートを敷いてあげるのではなく、
試して・振り返って・また試すというサイクルを、家庭の中であたたかく見守っていくことが、子どものGRITと自己マネジメント力を育てるいちばんの近道です。
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プロフィール:
和田晶平 スタディブレイン和歌山駅東口教室勉強コーチ
哲学と歴史が大好き 最近は中国古典にハマっている
スタディブレイン和歌山駅東口教室