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中学生に目標を立てさせると失敗する理由──自己決定理論(SDT)で考える「やる気」の設計

「目標を立てさせているのに続かない」
「最初はやる気があるのに、すぐに形だけになる」
中学生の目標設定について、こうした悩みはとても多いです。ですが、これは子どもが未熟だからでも、怠けているからでもありません。目標設定の設計そのものが、子どもの心理構造と噛み合っていないことが原因です。
なぜ「目標を立てさせる」と失敗しやすいのか

押し付けられた目標は内面化されない
多くの目標設定は、大人が「立てさせる」形になっています。
テストで何点、順位を何位、ワークを何ページ。これらは一見もっともらしく見えますが、子どもの内側から生まれたものではありません。
その結果、目標は「やらされるもの」になり、達成のための行動が続かなくなります。
やる気は「気合」では生まれない
心理学では、やる気は性格や根性ではなく、条件が整ったときに自然と立ち上がるものだと考えます。
その代表的な理論が、自己決定理論(SDT)です。
自己決定理論(SDT)が示す「続くやる気」の条件

やる気が続く3つの心理欲求
自己決定理論では、人が自発的に行動するとき、次の3つが満たされている必要があるとされています。
・自律性:自分で選んでいる感覚
・有能感:できそう、できているという感覚
・関係性:応援されている、つながっている感覚
このどれかが欠けると、やる気は急激に下がります。
中学生の目標設定で欠けがちな要素
特に欠けやすいのが「自律性」です。
「この目標でいい?」と聞かれても、実質的には選択肢がなく、大人の期待に合わせて答えているだけ、というケースは少なくありません。
その状態では、行動は長続きしないのです。
失敗しにくい目標設定の具体ステップ

成果目標と行動目標を切り分ける
「次のテストで80点」という成果目標だけでは、日々の行動に落とし込めません。
必要なのは、「毎日英語を20分やる」「学校のワークを1日2ページ進める」といった行動目標です。
成果はコントロールしづらく、行動はコントロールしやすい。この違いを明確にします。
期間は短く、達成可能にする
1か月後、3か月後の目標は、中学生にとっては遠すぎます。
おすすめは1週間単位。短いスパンで達成感を得ることで、有能感が育ちます。
「なぜやるか」を一緒に言語化する
「なんでそれをやるの?」と問いかけ、本人の言葉で意味づけを作ります。
大人の正解を言わせる必要はありません。本人が納得できる理由があれば十分です。
親ができる最適な関わり方

管理者ではなく伴走者になる
毎日のチェックや指示が増えるほど、子どもの自律性は下がります。
親の役割は、管理ではなく伴走です。
できなかったときの扱いが分かれ道
目標が達成できなかったとき、
「だから言ったでしょ」
ではなく、
「何が一番大変だった?」
と聞けるかどうかが重要です。
失敗を責めない環境が、次の挑戦を生みます。
目標は「立てるもの」ではなく「育てるもの」

中学生にとって、目標設定はまだ発展途上のスキルです。
だからこそ、最初から完璧を求める必要はありません。
自分で選び、できた実感を積み、応援されていると感じる。
この3つがそろったとき、目標は「続く力」に変わります。
目標を立てさせる前に、やる気が育つ土台が整っているか。
そこから見直すことが、遠回りに見えて一番の近道です。
実は、一口に目標といっても、いくつかパターンがあります。そして、子どもの性格やタイプによって、どういう目標設定が有効かも変わってきます。
気になる方は、タイプ別の目標の立て方についてのブログがありますので、ぜひご覧ください。
プロフィール:
和田晶平 スタディブレイン和歌山駅東口教室勉強コーチ
哲学と歴史が大好き 最近は中国古典にハマっている
スタディブレイン和歌山駅東口教室