ブログ
Blog
「算数嫌い」はこうして防ぐ! 低学年から始めたい「算数的思考」を育む日常の遊び

「計算ドリルを嫌がる」「文章題になると手が止まる」といった、お子さんの「算数嫌い」に頭を悩ませている保護者の方は多いでしょう。算数は学年が上がるほど抽象度が増し、一度つまづくと「自分は算数が苦手だ」という強い思い込み(固定マインドセット)を持ちやすい教科です。しかし、算数の本質は計算の速さではなく、身の回りの物事を論理的に捉える「算数的思考」にあります。この力は、机の上の勉強だけでなく、日常の遊びや生活の中でこそ豊かに育まれます。本記事では、発達心理学の知見に基づき、低学年のうちから親子で楽しみながら「算数脳」の土台を作るコツを解説します。
1. 発達心理学から見る「算数」の壁

スイスの心理学者ジャン・ピアジェは、小学生(およそ7歳から11歳頃)の時期を**「具体的操作期」**と呼びました。この時期の子どもは、目の前にある「具体的な物」を動かしたり触ったりすることで、論理的な思考を深めていくという特徴があります。
- 抽象化の壁:
- 算数の教科書に出てくる「数字」や「記号」は、極めて抽象的な概念です。
- 目の前にリンゴがない状態で「3+2」という記号だけを処理するのは、低学年の脳にとって非常に負荷が高い作業です。
- 具体物からのスタート:
- この時期に大切なのは、数字という「記号」を扱う前に、量や重さ、形といった「具体的な感覚」を十分に体験することです。
- 実体験を通じた「ナンバーセンス(数感)」が育っていないと、計算はできても「何をしているのか分からない」という状態に陥り、算数嫌いの原因となります。
2. 料理と買い物は「最高の算数教材」

日常生活は、算数的思考を養うチャンスに溢れています。特別な教材を買わなくても、家事の一部を子どもに任せるだけで、算数の重要概念を自然に学ぶことができます。
- 「料理」で体積と割合を学ぶ:
- 「100mlの水を測る」「小さじ1杯を入れる」といった計量作業は、かさ(体積)の概念を理解する基礎になります。
- 「ピザを家族4人で同じ大きさに切って」というお願いは、分数の基礎となる「等分」の考え方を体験させます。
- 「ホットケーキミックスに対して牛乳をこれくらい入れる」という比率の感覚も、料理を通じて身につきます。
- 「買い物」でお金と見積もりを学ぶ:
- 「100円以内で好きなお菓子を2個選んで」というミッションは、足し算と引き算の切実な実践の場になります。
- 「どっちの洗剤が安いかな?」と単位量あたりの価格を一緒に考えることで、比較の概念が育ちます。
- レジに並ぶ前に「だいたい全部でいくらくらいになるかな?」と**見積もり(概算)**を立てる遊びは、数字を大まかに捉える力を養います。
3. 空間認識能力を育てる「図形遊び」のコツ

算数において計算と並んで重要なのが図形です。図形問題への苦手意識は、幼少期からの実体験の不足が影響していることが多いと言われています。
- 「折り紙」と「あやとり」:
- 折り紙は、平面が立体に変わる過程や、対称性(半分に折ると重なる)を学ぶのに最適です。
- 角と角を合わせる正確な作業は、幾何学的な感覚を研ぎ澄ませます。
- 「ブロック」や「積み木」:
- 見えない部分を想像する「投影」や、形を組み合わせて別の形を作る「構成」の力が身につきます。
- 「お手本と同じ形を作ってみよう」という遊びは、図形を要素に分解して理解する助けになります。
- 「アナログ時計」の活用:
- デジタル時計ではなく、長い針と短い針があるアナログ時計をリビングに置きましょう。
- 「あと15分で出発だよ」といった声かけで、60進法という特殊な数の仕組みを体感的に理解させることができます。
4. 「答え」よりも「考え方」を承認する関わり方

算数的思考を育てる上で、親の関わり方は非常に重要です。正解を出すことばかりを重視すると、子どもは間違えることを恐れ、思考を停止させてしまいます。
- 「どうしてそう思ったの?」と質問する:
- 答えが合っていても間違っていても、「どんなふうに考えたのか」を言葉にさせることが、論理的思考のトレーニングになります。
- 間違いを「新しい発見」と捉える:
- 計算ミスをしたとき、「ダメじゃない」と言うのではなく、「面白い考え方をしたね」「どこでルールが変わっちゃったのかな?」と一緒に探究する姿勢を見せます。
- 「見積もり」を褒める:
- 正確な計算ができることと同じくらい、「だいたいこれくらい」と数字の当たりをつけられる感覚(概数感覚)を褒めてあげてください。これは高度な数学的センスに直結します。
5. まとめ:遊びの延長に「算数」がある

小学生の時期に大切なのは、ドリルを完璧にこなすことよりも、「算数って生活のあちこちに隠れているんだな」という気づきを与えることです。
- 具体物を触る: ピアジェの「具体的操作期」を意識し、料理や工作、遊びの中で数や形に触れる。
- 生活に組み込む: 買い物や時計の読みなど、日常の課題を子どもに解決してもらう。
- 思考のプロセスを楽しむ: 答えの正誤以上に、「考える楽しさ」を親子で共有する。
「勉強しなさい」と言う代わりに、「これ、どうやって分けたら公平かな?」「あと何分でアニメが始まる?」と、算数のタネを日常の中に蒔いてみてください。その小さな「遊び」の積み重ねが、将来の数学的な理解を支える強固な土台となるはずです。
関連記事はこちらです:
プロフィール:
和田晶平 スタディブレイン和歌山駅東口教室勉強コーチ
哲学と歴史が大好き 最近は中国古典にハマっている
スタディブレイン和歌山駅東口教室