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「戻る」か「進む」か? わからない問題にぶつかった時の科学的な判断基準

宿題やドリルを解いていて、子どもが「わからない!」とフリーズしてしまったとき。「前の学年の内容に戻るべき?」それとも「解説を読んで先に進むべき?」と迷う保護者は多いはずです。
実は、むやみに「戻る」のも、無理に「進む」のも、学習効率を下げてしまう可能性があります。認知心理学の視点から、お子さんが今どのレベルでつまづいているのかを見極めるための3つの判断基準と、具体的な対応策を解説します。
1. 判断基準①:前提となる「概念」が欠落しているか?

算数などの積み上げ型教科において最も重要な基準です。「今解いている問題」の土台となる、前の単元のルールを理解していない場合は、迷わず戻る必要があります。
- 戻るべきサイン:
- 割り算の筆算ができない原因が、実は「引き算」や「九九」のミスにある。
- 文章題が解けない原因が、計算力ではなく「言葉の意味(語彙)」がわからないことにある。
- 対応策:
- この場合、今の問題をいくら解説しても「砂上の楼閣」です。
- 潔く**「1つ前のステップ」**に戻り、土台を固め直します。これを「レメディアル(補習)学習」と呼び、急がば回れで結果的に最短ルートになります。
2. 判断基準②:「初見の壁」か「定着不足」か?

次に、その問題が「全く新しい概念」なのか、それとも「習ったはずなのに思い出せない」のかを区別します。
- 進んでOK(解説を読む)のサイン:
- 初めて見るパターンの問題で、5分考えても糸口が見えない。
- 認知心理学では、全く知らないことを考え続けるよりも、一度答えや解説を見て**「解き方のパターン(スキーマ)」**を脳にインプットする方が効率的です。
- 戻るべき(復習する)のサイン:
- 以前は解けたはずの問題なのに、解き方を忘れている。
- これは記憶の定着不足です。新しい問題に進むよりも、**「類題(似た問題)」**に戻って、解き方を思い出す練習(想起練習)を優先します。
3. 判断基準③:「ワーキングメモリ」がパンクしていないか?

問題そのものは理解できていても、情報量が多くて脳が処理しきれていない(ワーキングメモリのオーバーロード)場合があります。
- 「横にスライド」する判断:
- 問題を読んでいるうちに最初の方を忘れてしまう、ケアレスミスを連発する。
- この場合は、学年を戻る必要はありません。**「情報の整理の仕方」**に戻ります。
- 対応策:
- 「図を描いてみる」「条件を箇条書きにする」といった、脳の負荷を減らす**「補助スキルの習得」**に戻り、同じ難易度の問題で再挑戦させます。
4. 親ができる「魔法の質問」

戻るべきか判断がつかないときは、お子さんにこう問いかけてみてください。
「この問題の、どの言葉(あるいはどの数字)から分からなくなった?」
- 「言葉の意味が不明」なら: 辞書や前のページに戻る。
- 「やり方が不明」なら: 例題や解説を読んで進む。
- 「何を聞かれているか不明」なら: 文章の読み取り(読解)まで戻る。
この質問を繰り返すことで、お子さん自身の中に「自分は今、何が原因で止まっているのか」を分析するメタ認知能力が育ちます。
5. まとめ:戦略的な「撤退」は敗北ではない

「戻ること」をネガティブに捉える必要はありません。学習において、わからない場所まで戻ることは、次に高く飛ぶための助走です。
- 概念の欠落: 迷わず土台の学年・単元まで戻る。
- 未知のパターン: 悩みすぎず解説を読んで進む。
- 情報過多: 整理術(図解など)の練習に戻る。
「わからない」は、お子さんの脳が成長しようとしているサインです。その原因を親子で見極め、適切なステップを選んでいきましょう。
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プロフィール:
和田晶平 スタディブレイン和歌山駅東口教室勉強コーチ
哲学と歴史が大好き 最近は中国古典にハマっている
スタディブレイン和歌山駅東口教室