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「教わり上手」が不合格になる理由。受け身の脳は1時間で9割忘れる

「塾の授業はしっかり聞いているのに、成績が上がらない」 「先生の解説を聞くとよくわかるのに、自分一人では解けない」
もしあなたがそう感じているなら、あなたは「教わり上手」という名の深い落とし穴にハマっているかもしれません。実は、「わかりやすい授業を聞くこと」と「学力が上がること」の間には、私たちが想像する以上に大きな溝があるのです。
今回は、なぜ「ティーチング(教え込み)」だけでは伸びないのか。その脳科学的な根拠と、今すぐ変えるべき学習の「姿勢」について徹底解説します。
1. 授業中のあなたの脳は「眠っている」

「先生の話を一生懸命聞いているのに、脳が眠っているなんて失礼な!」と思うかもしれません。しかし、脳科学的な観点から見ると、一方的な講義(ティーチング)を受けている時の脳の活動レベルは、テレビをぼーっと見ている時と大差ないことが分かっています。
- 「理解」と「定着」の勘違い: 先生の解説が完璧であればあるほど、生徒は「わかった!」という快感を得ます。しかし、それは先生の脳が整理した知識の「結果」を見せてもらっているだけで、あなたの脳が自力で知識を組み立てたわけではありません。
- 疑似体験の罠: プロの料理人の包丁さばきを見て「自分も切れるようになった」と錯覚する人はいません。しかし、勉強では「名人の解説」を聞くと、自分が賢くなったような錯覚に陥ります。これが、教わり上手が本番で点数を落とす最大の原因です。
2. ラーニングピラミッドが示す「5%」の衝撃

以前の記事でも触れた「ラーニングピラミッド」を、ティーチングの視点からもう一度見直してみましょう。
- 講義を受ける:定着率 5%
- 読書(自習):定着率 10%
驚くべきことに、受動的に講義を聞くだけの学習は、半年後の定着率がわずか5%しかありません。つまり、100分間の授業を受けても、あなたの脳に血肉として残るのはたった5分ぶんの内容だけ。残りの95分間は、厳しい言い方をすれば「時間の浪費」になってしまっている可能性があるのです。
成績を伸ばすために必要なのは、ピラミッドの下層にある「自ら練習する(75%)」や「他人に教える(90%)」といった、脳が汗をかく能動的な活動です。
3. 「わかりやすすぎる解説」が思考力を奪う

現代の塾や予備校、参考書は非常に進化しており、驚くほど「わかりやすい」のが特徴です。しかし、この「親切すぎる環境」が、皮肉にも生徒の伸びしろを奪っています。
- 「わからない」という苦しみの欠如: 本来、学力は「どうしてこうなるんだ?」と七転八倒し、脳が解決策を必死に探索しているときに最も向上します。ティーチングによって「答え」や「ショートカット」をすぐに与えられると、脳はこの貴重な「自力探索のプロセス」をスキップしてしまいます。
- 筋トレに例えると: あなたが筋トレをしている横で、コーチがバーベルを持ち上げて「こうやって上げるんだよ、簡単だろう?」と見せているようなものです。どれだけ見事なフォームを見せられても、あなたの筋肉は1ミリも育ちません。重りを持ち上げる「苦しみ」を代行することは、誰にもできないのです。
4. 教わり上手を卒業する「3つの逆転ルール」

では、授業やティーチングを無駄にせず、真の学力に変えるためにはどうすればいいのでしょうか。以下の3つのルールを自分に課してください。
① 「ツッコミ」を入れながら聞く
先生の話を「正解」として丸呑みするのではなく、「なぜその公式が出てきたのか?」「もしここがマイナスだったらどうなるのか?」と、常に脳内で質問を投げかけます。受動的な「受信モード」から、攻めの「解析モード」に切り替えるのです。
② 10分授業を受けたら、2分「思い出す」
授業が終わった直後、ノートを見ずに、今習ったことのポイントを白紙に3つ書き出してください。この「思い出す(想起)」という作業を挟むだけで、定着率は5%から数十%へと跳ね上がります。
③ 先生の言葉を「自分の言葉」に翻訳する
板書をそのまま写すのはやめましょう。先生が言ったことを、自分なりに「つまり、こういうことだよね」と納得のいく言葉でメモに残す。この「翻訳作業」こそが、脳の回路を作るプロセスです。
5. 【保護者向け】「教えすぎ」が子どもの自立を妨げる

お子様が「わからない」と言ってきたとき、すぐに丁寧に解説を始めていませんか? その親切が、実は子どもの「自走力」を削いでいるかもしれません。
- ヒントは出すが、答えは出さない: 「教科書のこのページにヒントがあるよ」「まずは図を描いてみたら?」と、プロセスをサポートする側に徹してください。
- 「質問力」を育てる: 「どこがわからないの?」と聞き、「全部」と答える子には、どこまではわかっているのかを特定させます。自力で「わからない場所」をピンポイントで見つける作業自体が、高度な学習トレーニングになります。
結論:「教えてもらう」時間は、勉強ではない

厳しいようですが、ティーチングを受けている時間は、まだ「勉強」の準備段階にすぎません。本当の勉強とは、教わったことを忘れないうちに、自分の手で解き、自分の頭で悩み、自分の言葉で説明できるようになるまでのプロセスのことです。
- 「わかる」と「できる」は全く別物であることを自覚する。
- 授業を聞く時間を短くし、自力で解く時間を3倍以上確保する。
- ティーチングに依存せず、先生を「自分の理解を確認する道具」として使い倒す。
「教わり上手」なだけの自分を今日で卒業しましょう。耳を貸すだけの人から、自ら手を動かし、頭を絞り出す人へ。その転換ができたとき、あなたの成績は驚くべきスピードで上昇し始めます。
子どもが困っていると、つい親切心で教えてしまいたくなるものです。ですが、そこをグッとこらえて、子どもの力を信じて壁にぶつかってもらうのも勉強です。
スタディブレインでは、教えないことで子どもに試行錯誤をしてもらっています。人から「君は計算ミスが多いから気を付けよう」と言われるよりも、自分で自分の課題に気づけた子どもの方が、その課題を解決しようと動き出します。
それが子どもたちの「生きる力」になると信じています。
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プロフィール:
和田晶平 スタディブレイン和歌山駅東口教室勉強コーチ
哲学と歴史が大好き 最近は中国古典にハマっている
スタディブレイン和歌山駅東口教室